もしこれが戦場なら…[井原芳徳]


 今回は9日のケージフォースで苦戦したウマハノフ・アルトゥール選手について書きます(2回連続でケージフォースとSKアブソリュートの選手の話題となったのはたまたまです)。
 詳しくはまずバウレビの記事を読んで頂きたいのですが(上のリンクから見て下さい)、1R、美木選手のローキックを、そんなに奇麗な形で当たったわけではないのですが、サポーターをつけている左膝にもらったウマハノフ選手はしかめっ面を浮かべます。以降はタックルに行っても右のパンチを振っても踏み込みが甘くなります。美木選手のセコンドは「相手スピード半分に落ちたぞ」と叫んでました。
 2Rに入ると、ウマハノフ選手の表情が弱々しくなったように感じられます。これまでの試合では見せた事の無い表情でした。攻撃の手数が減り、鼻血も出し、敗色が濃くなって来るのですが、それでも少しずつパンチやハイキックを当て、ラウンド最後には毎ラウンド必ず1テイクダウンを取っているんですね。
 試合後わかったのですが、左膝だけじゃなく右拳も試合中に痛めたそうです。それでも手数を出し、何としても勝とうとした執念というのは、やはりロシア軍の特殊作戦部隊時代に培ったもののような気がします。「左膝と右拳は使えないけど、もしこれが戦場なら、俺が少しでも弱気になったら殺される」という考えが、何度もウマハノフの頭に浮かび、それがウマハノフ選手を奮い立たせ、前に出させたのではないかと勝手に推測します。
 判定2-1とはいえ、ウマハノフはこのライト級王座決定トーナメントという戦場で生き残りました。いわゆる「ウマハノフ幻想」は半減した試合ではあるのですが、それは主に体調に関わる部分の話で、ハートに関しては、まだ幻想は十分あり、それが他の面に反映させる力は底知れないように思います。
 この大会に出たキラービーの選手の公開練習の記事の締めに「技術はもちろん、その支柱となる集中力や負けん気といったハートを、二人(=菊地と朴)が試合の瞬間瞬間でどう発揮するかにも注目して欲しい」と書きましたが、今回はそれをウマハノフ選手の試合で一番見せつけられました。負けましたが、美木選手からもそういうハートが感じられました。
(冒頭写真はハイキックのカットとどっちを使おうか迷った末にボツした写真です)


2007-06-13 11:18 この記事だけ表示   |  コメント 0

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