修斗の最大のウリは「立体感」だ[井原芳徳]

あほっしいさんwrote

「会場の温度」といえば、先日の修斗横浜大会は、報道されている雰囲気と、会場の雰囲気がだいぶ違ったと聞いていますが、その辺の裏話をできればぜひお願いします。

 前回の「ヒーロー!」で、「会場の温度」に関して書いたところなんてあったっけな?と疑問を抱きつつも、リクエストにお答えして、修斗のパシフィコ横浜大会について書きたいと思います。


 まずこのMMA初進出となった国立大ホールについて説明します。簡単に言うと、後楽園ホールを5〜6周り大きくした会場です。リングの位置も同じ辺りと思って下さい。で、北側は全部入場ゲートと大型スクリーンで潰して、東西はイスを並べて、南側には映画館のようなイスが縦横200メートルぐらいダダっ広く並んでる感じです。2階席と3階席もあったけど、3階は使わなかったのかな? つまり普通のコンサートホールで興行をやったような感じ。客の9割方は南側から観てます。

 で、なんで会場の構造を説明したかというと、これが今大会の雰囲気をある意味象徴しているなあと感じたからです。
 普通、お客さんが会場で観るのは、試合だけじゃないんですね。その周辺のセコンドやサブレフェリーの動き、反対側やリングサイドに座ってるお客さんの盛り上がりも、自然と目に入っているわけです。
 ですが、今回の会場は周辺が見えにくい。リング上の試合も見えるんですが、客席がわりとフラットなので、寝技になると見にくく、上のスクリーンがありがたいことにデカいため、自然とスクリーンの方に目線が集中する構造になっているわけです。
 「立体」で観るというより、「平面」のスクリーンの映画を観ている感じが強い。まあ、僕が客席後方に行ったのは、冒頭の会場写真を撮った時と、入場セレモニーの時ぐらいですので、実際のお客さんの感覚はそこまで平面的じゃなかったかもしれません。2階席だとそうでもなかったのかもしれませんので、参考程度に留めて下さい。


 ただ、「平面」ということで言うと、マッチメイクも日本人チャンピオンクラス vs. 中堅で無名の外国人という構図中心だったため、修斗特有の奥深さが感じられませんでした。川尻選手らチャンピオン達の高い技術、仕上がり具合、放つ存在感、全て一級品でした。相手の外国人もみんなクラスAの実力はちゃんとあって、チャンピオンを食ってやろうという気迫満々でしたよ。一本KOで次々決まって気持ちよかったです。
 ただ、どれも「いい試合でした、ハイ終わり、次」って感じなんですね。それだと修斗の試合らしく無いんです。その試合に至るまで、赤コーナーと青コーナーの選手がどういう勝ち上がりをしてきて、そしてこの日の結果によって、今後二人の運命はどう明暗をわけるのか? というところまで、その二人もセコンドもお客さんも理解していて、そのみんなの意識と緊張感の相乗効果で試合のワクワク感が高まるのが普段の修斗の試合なんですが、そういう試合がマモル vs. BJのタイトルマッチと、中蔵と天突のランキング戦ぐらいで、結果的に僕の印象に残ったのはこの2試合でした。


 もちろん他団体でもそういうワクワク感を産むように、タイトルマッチやトーナメントを実施したり、煽りVTRで経緯を説明する等工夫してますけど、どこか修斗に比べればバーチャルな立体感とでもいいましょうか…。修斗の場合、ランキングシステムとその下の新人王戦やアマチュア選手権の座標軸がしっかりしているから、リングの正方形から生まれる立体感の迫力が他団体と比べ物になりません。だから中蔵 vs. 天突といった下位ランカーの試合でもワクワクできるんですね。
 主催者側も川尻 vs. ハンセンのタイトルマッチを実現しようとしていたわけですから、修斗の持つ立体感は当然感じてはいるんでしょう。けど、それが頓挫しても川尻選手をメインに置き続けてしまったことから推測すると、その立体感が修斗の最大のウリだということを、それほど意識できてないのか? あるいは自信が揺らいでるのか? とちょっと心配になります。

 今年2月の代々木大会は超満員だったわけですが、平日にも関わらず、4時スタートの第1部の第1試合の時から、客席が8割方埋まっていました。それだけのお客さんが、選手の知名度よりも、修斗の持つ立体感に魅力を感じていることの現れだと僕は思いました。チケット代のモトを取ろうという魂胆で、あんなに平日4時から集まりませんよ。
 だからもっと立体感をウリにしたらいいと思うんですけどね。今年の全日本アマ選手権も滅茶苦茶レベルが高かったという評判を方々から聞きますし、北沢や後楽園の前座も抜群に面白い。地下のマグマは沸々と燃えたぎってるように感じられるのですが…。
 ただ、修斗が紹介される時のうたい文句として「長い歴史を誇る高い競技性」とか「世界最大の格闘技コミッション」とかいったものが使われてますけど、それだけじゃあ、なんかありきたりで優等生的すぎる感じがします。「四角いリングからランキングシステムに沿って伸びる立体感」なんていいと思いません? それでもまだ硬いかな。でもそういう右脳的なキャッチフレーズ一つ二つで大噴火する可能性を修斗は秘めてると思うのです。あぁ、今の格闘技界には古舘伊知郎が足りない…。



2006-10-17 12:21 この記事だけ表示
 
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