箱根駅伝とエコの潮流[井原芳徳]
 前回、格闘技の人気選手自体の数が少ないんだから、Dynamite!!が人気選手中心の話題作りをするのはおのずと限界があるということを書きました。しかも、人気選手を増やしていったとしても、顔見せ程度のマッチメイクだと、視聴者はさほど大きな関心を示してくれません。シビアな戦いが伴ってこそ、人気選手のコンテンツ力が十分発揮されるわけです。
 そう、「シビア」さ、あるいは「真剣さ」です。過去に大晦日に高視聴率を取った曙も、横綱という地位を捨ててサップに挑んだ点でシビアですし、金子賢にしたって、俳優としての地位を考えればシビアな挑戦でした。格闘技ファンから非難を受けまくったという点でもシビアですよね。もっと言えば、大晦日にハッスルした泰葉、「おふくろさん」を歌った森進一も、いろんな障壁を乗り越えたという点でシビアでした。

 で、もっと極端に考えると、有名人が登場しなくても、シビアな競争さえ繰り広げられれば、人は注目するわけです。その競争のシステムがよくできていればより注目度は高まります。その典型例が、年末年始の高視聴率イベントならば、漫才のM-1グランプリや箱根駅伝です。普段ほとんどテレビに出ない漫才コンビでも、M-1のシビアな競争で優勝すれば一気に注目を浴び、お笑い好きの人たちから大きな評価を集めますし、箱根駅伝に出てる大学生のこれまでの実績なんて全然知らなくても、ただボーッと見ているだけでシビアさを感じることができます。
 とくに箱根駅伝は、大企業のCMの付く数が半端じゃないですね。しかも大半の企業は特定の商品をアピールするんじゃなく、エコロジーへの取り組み等の企業ポリシーをアピールしていて、箱根限定で作っているよう気合の入ったCMもよくあります。企業にしてみれば新年の年賀状代わりになってますよね。箱根の山はもちろん、富士山とか湘南の海辺の景色が綺麗で、そこに大学生のシビアな競争が乗っかることで、他に真似のできないぐらいクリーンなイメージができ、多くの大企業もそのイメージにあやかろうと、莫大なスポンサー費用を出すという、理想的な形が出来上がっているわけです。
 まあ、企業によっては、最近話題の派遣切りの悪いイメージを覆い隠すために、エコへの取り組みをことさらアピールするという魂胆もあるんでしょうけど、大企業のクリーン指向というのはここ数年の流れで、これは当面変わりそうもないですよね。

 ですけど格闘技界は、その流れには全く乗れていないどころか、むしろ逆行するようなことを一生懸命やっているような感じかもしれません。これまでは過激さや無法さが、大衆の欲望を刺激し、そこにスポンサーが集まるというのが(格闘技に限らず多くの分野で)主流でしたから無理もないんですけど、実は今は潮目が完全に入れ替わって、今の時代ほど競技性と商業性のベクトルが一致する時代は無いんじゃないかと思うのです。
 Dynamite!!がもしその流れに乗るのなら、K-1 MAXの世界トーナメントの決勝を大晦日に持ってくるというのが、一番手っ取り早いやり方でしょう。準決勝から決勝の体力回復の時間に、キン肉万太郎対サップとかを入れるのもいいんじゃないでしょうか。K-1甲子園の決勝は既に2年連続で大晦日にやっていますけど、あれももっと熱心にTBSが予選から放送していけば、盛り上がりを作れるでしょう。変に紹介VTRや応援団のような絵作りに凝るほうが逆効果で、淡々と戦ってる高校生の男の子の表情を追うほうが効果的でしょう(箱根駅伝の日テレのスタッフがやったほうが上手いかもしれませんが)。
 でも、まだこれだとエコな今の潮流には乗りきれてないわけで。あと、これは長期的な熟成が必要になるんでしょうけど、M-1や箱根に関する冒頭の話と一緒で、K-1という知名度の高い競技ブランドじゃなくても、それがシビアでクリーンな内容であれば、名前は何だっていいわけです。むしろ1から新ブランドを作っていったほうが、数年後は大企業の広告がいっぱいつく優良コンテンツにしやすいかもしれません。

 あ〜、前回の最後に、芸能人に格闘技をやらせる話について言及していましたが、なかなか辿り着きそうにないや。長くなってきたのでこの辺で。次でたぶん書けると思います。


2009-01-11 22:50 この記事だけ表示   |  コメント 7

コメント

格闘技はプロでも、テレビは素人なんですから知ったような口をたたかないでください。それよりも格闘技自体の熱を自ら高めるようにもっと精進したらどうですか
BEE
(2009-01-12 07:55)
初めまして
これからも拝見させて頂きますね。
楽しみにしています。
(2010-04-09 10:47)
これからも拝見させて頂きますね。
楽しみにしています。
(2010-04-09 16:56)
、自分でもこれまで思いつきもしなかったようなフレーズでその選手を表現することで、ディレクターさんやデザイナーさんが意外なアイデアやデザインを返してきたりと、ジャムセッションのような化学反応が起こる楽しさもあります。シンガーソングライターがアイドルに詩や
(2012-04-05 16:28)
。「この選手の何が凄い?何が個性?」ということを、簡潔でいてインパクトの残る形で紹介しないといけないので、脳味噌の中でもい
(2012-04-05 16:34)
する文章は、これまでばうれびでも専門誌でも山ほど書きましたSだと、格闘技を全然知らないか、普段そんなに見ない人が対象です。選手やイベントの予備知識はゼロか
(2012-04-05 16:40)
ほとんど無いことも想定しないといけない上、文字数も限られています。「この選手の何が凄い?何が個性?」ということを、簡潔
(2012-04-05 16:47)

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